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ホテルを支える”事業戦略”を推進―多様な立場の架け橋となり、ホテルを心に残る場所へと育てていく

時にはホテル設備の更新、時にはサービスクオリティ向上サポートを担う。日々ホテルの運営課題に向き合い、森トラストとも連携することで多様な分野の専門知識を取り入れ、品質を維持・向上させながら、グループ全体の価値を底上げする。それが森トラスト・ホテルズ&リゾーツ(株)事業戦略部の仕事である。入社2年目に配属され、ホテル運営の最前線で奮闘する濱嶋弓惠に、ホテルサポート事業のやりがいとホテルへの思いを聞いた。


―ホテルに寄り添い、伴走する。ホテル運営を影で支える仕事人。

濱嶋弓惠(以下、濱嶋):事業戦略部のミッションは、ホテルに伴走し、オペレーションの変革や新たな価値を創造すること。ホテル単体で考えるのではなく、グループ横断で全体最適化を図ることで「できること」の幅を増やしていく。そのサポート役を担うのが事業戦略部のお仕事です。

―客室デスクの小さな傷や日々の相談窓口。ITシステム導入からサステナ領域まで、ホテルにまつわるあらゆることに携わり、ホテルのクオリティを支えていく。

濱嶋:事業戦略部の仕事は、既存ホテルに関する業務と新規ホテル開業に関する内容に大きく二分され、中でも前者は、運営支援、DX、サービスクオリティ向上、設備投資、サステナビリティという5つの柱に分かれています。多角的な視野を養う観点からチーム制をあえて取らず、それぞれ注力分野を持ちながら全員がすべての領域を担当します。私の場合は東海エリア8つのホテルを担当するとともに、新規開業業務も担当しています。

例えば、衛生管理向上のために導入した庫内湿温度管理システム。現在マリオットブランドホテルでは1日に2回、全ての冷蔵庫・冷凍庫の庫内温度を測り紙に記帳、90日分を保管しなければならないという決まりがあります。従前この作業をすべてアナログで行っており、スタッフが温度計を手に持ち庫内で30秒ほど耐え、その結果を紙に書いていくので作業効率や、計測時の庫内温度上昇による衛生リスク、紙の大量使用による雑多な管理や環境への配慮に欠ける課題がありました。これらを解決すべく、様々な選定軸を設定の上ベンダーを選定し、庫内湿温度管理システムをすべてのホテルに導入。24時間計測しPCから確認が可能、自動で結果が帳票されサーバーへ保存、温度異常があった場合はアラートが発信されすぐに対応ができるようになることで衛生管理の体制を向上させました。これを全ホテル横断で取り入れたことでグループホテルの業務効率化とより安全な運営体制を整えることができました。専門的な知識を要するシステム導入時は森トラストのシステム課、既存ホテルの設備投資における予算相談は投資事業部、ホテルの内装イメージを変更する際のデザイン的なアドバイスはCM部や森トラスト・ビルマネジメント(株)FM部、ホテルの根幹となる設備に関する工事相談は同社技術グループなど、森トラストおよびグループ会社と連携をとり、知見を集結させる架け橋の役割を担うことで、多角的にホテルの課題解決にむけて推進していきます。

―家族旅行で得たホテルの原体験。敢えて出かけずホテルで過ごす、そんな最高の贅沢を叶える場所。

濱嶋:我が家はみんな旅行が大好きなんですよ。年に1、2回は沖縄へ行くのですが、必ず1日はホテルから出ずに過ごす日を設けているんです。

みんなお酒を飲むのが好きなので、朝からお酒を嗜み、ラウンジでも1杯、午後は海を見ながら本を読んだり、ヨガに参加したり、ハンモックに寝そべってお昼寝。夕食は沖縄の食材を楽しんで、泡盛を飲みながらビーチで焚火―。顔なじみになると「今日は珍しい古酒が入ってるよ!」なんて地元の店長とお話できたりします。一見特に派手さもない1日ですが、大好きな沖縄のなじみのあるホテルですべての喧騒を忘れリラックスするこの家族とのイベントが人生において大切な時間になっている気がします。

高価なホテル=ラグジュアリーという捉え方をされがちですが、私にとってはそこでしかできない体験や時間こそがラグジュアリーなものであり、その空間を作り上げるお手伝いができていると思うととてもやりがいを感じます。

―就職活動で「暮らしの実験場」としてのホテルの価値に再注目。「空間を育てていける」ことにこだわり、デベロッパーの道へ。

濱嶋:「人の暮らしや体験」に興味があり、作った空間をそのまま育てていける不動産デベロッパーの強みに惹かれました。不特定多数の人が長時間滞在するホテルは、新しい体験や価値を生む「暮らしの実験場」のような性質があると感じました。

もともとホテルが大好きでしたし、今後ホテルの開業も担当したいと考えたときに、外資系ホテルに強い森トラストはとても魅力的に映りました。社内に設計部隊を持ち、細部まで自分たちで考えることができる森トラストなら、ホテルに対して幅広いアプローチができると考え、入社を決めました。

―2024年、ホテルインディゴ⻑崎グラバーストリートの開業が決定。開業に先立ち、50人体制の大規模リハーサルが始まった。

濱嶋:事業戦略部に配属されて1年も経たない頃、長崎での新規ホテル開業に関わりました。ホテルのグランドオープン前には「ドライラン」と呼ばれる、実際の運営を想定した大規模なリハーサルを行います。

昼、チェックインゲストで混雑した際にフロントが混乱しないか、夕食のオーダーが殺到した際に問題なくメニューを提供できるかなど、丸2日、約50名の社員およびプロジェクト関係者をゲスト役として迎え、1泊2日を実施に運営してみることでオペレーションの課題点を洗い出していきます。

私は先輩とともに、ホテル側へ「どんなイレギュラーを想定したいか」を事前ヒアリングし、ゲスト役50人分の詳細な行動シナリオを作成しました。「駐車場が少ないので車での来場が多かった場合のオペレーションを確認したい」「素泊まり予約のゲストから当日レストラン利用希望を受けた場合を想定したい」といったシチュエーションを50人分のシナリオに落とし込みました。

車で来館し、15時にチェックイン。17時頃に客室からフロントへ不足しているアメニティをリクエストし、19時に予約なくレストランへ向かってアラカルトで注文。翌日はレイトチェックアウトで退館する……といった具合に1人1人異なるシナリオを考えていきます。ホテル側のテストしたい項目をすべて満たしているか、同一人物の行動として破綻していないかを入念にチェック。

当日朝に一度ゲスト役にホテルに集合していただき、全体の説明と各ゲストにシナリオの説明をしたあと、いよいよドライランが始まります。丸2日のドライランが終わると、今度はゲスト役の皆さんにアンケートを実施。内容を取りまとめて分析し、開業チームで改善策をすり合わせていきます。

配属1年目でわからないことだらけでしたが、先輩と2人でゲスト名簿とにらめっこしながら何とかシナリオを完成させていきました。シナリオ作成や当日の運営、アンケートの取りまとめなどを担う中、トライ&エラーを重ねながらオペレーションが実際に構築されていく過程を間近で見ることができ、とても貴重な経験となりました。

配属される前は、完成した建物ばかり注目していましたが、その建物の中で適切な運営体制を作り上げることがどれだけ難しいことなのかを学ばせていただきました。

―飛び交う専門用語に四苦八苦。同期もいない中、とにかく「食らいつこう」と決めた。

濱嶋:例えば「客室の清掃が終わったかどうか」をフロントと清掃担当がどのようにコンタクトしているのか。ホテル運営には暗黙知(共有されづらい知識)がたくさんあります。当然専門用語も飛び交います。打合せは、知識がある前提で話が進むため、最初はわからないことだらけで苦労しました。自分で部署の資料を探しまわったり、先輩に聞いてみたりしますがそれでも次々と知らない用語が出てきます。同期もいない中、とにかく「食らいつくしかない!」と思って立ち回った1年でした。

日々ホテルの支配人や担当者とコミュニケーションを取るなかで、初めは自分の発言が的外れなことも多く、現場経験のない自分がオペレーション改善を提案するなんてと思い悩んだ時期もありましたが、濱嶋そうじゃなくてこうなんだよ、と正面から向き合って下さる総支配人・支配人に助けられました。時間はかかりますが、どうスタッフのシフトを組んでいるのか、アレルギーの情報はどのようにホテル内で共有されているのか、各作業にどの程度の人員が必要なのか、分からないことを認め怖がらずひとつひとつホテルを運営するというのはどういうことなのかを理解することが運営サポートにおいて大切なのだと身に染みる日々です。

ホテルと伴走するために必要なのは「対等に議論できる力」であり、高いハードルですが 早く成長して皆さんの思いに応えられるようにならなければと感じます。そういう意味では厳しい職場でもありますが、その分、やりがいもあります。

―ともに育てる。良いサイクルを生み出し、発展させていくための架け橋になりたい。

濱嶋:この仕事は、今あるホテルに対してできることが無限にあります。森トラストを選んだ理由も「空間を育てていけること」にこだわりたかったから。自分の仕事が直接ホテルの運営効率改善に繋がったり、ホテルの方々に感謝していただけたりすることにとてもやりがいを感じます。新規開業プロジェクトで培った経験を生かせば既存ホテルの担当としてもできることが増えていくはず。

ホテル現場の方々が日々感じている課題感や想いに寄り添って尽力し、それを新規ホテルの設計やオペレーション構築にも活かしていくことで、会社全体の良いサイクルを生み出していきたい。その強力な架け橋としての力が事業戦略部にはあると思うので、個人としてもその役割を担っていけるよう、これからもとにかく挑戦してきたいと思います。


Profile
濱嶋弓惠(はまじま・ゆみえ)
東京生まれ。大学では都市計画を専攻し、3年生からランドスケープ関連を手掛ける事務所で⾧期インターンに参加。卒業後、2023年に森トラスト入社。2024年に森トラスト・ホテルズ&リゾーツに出向、事業統括部(現・事業戦略部)オペレーション担当に配属された。ホテルインディゴ⻑崎グラバーストリート開業にあたってのドライランやマリオットホテルが推奨している環境認証「さくらクオリティ」の取得に尽力。プライベートでは旅行好きで、海外には年2~3回訪れている。

濱嶋弓惠(はまじま・ゆみえ)